生命保険の契約者変更が税務署に把握されるようになる!?

 与党の平成27年度税制改正大綱によると、生命保険契約等について、契約者の変更が行われた場合、保険会社等に提出を義務付ける新たな法定調書制度が整備されることになりました。

 実は、この改正内容は、平成20年度から毎年度の税制改正に向けて出されている国税庁の税制改正意見で事実上改正が要望されてきたもので、国税庁の8年越しの要望であり、ようやく平成27年度税制改正大綱に盛り込まれたようです。

 

 調書の提出が義務付けられるのは、次の2つのケースで、記載事項はそれぞれ次のとおりです。

 ①生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合、死亡による契約者変更情報と解約返戻金相当額等を記載した調書を提出すること

 ②保険契約者変更があった場合、生命保険金等の支払調書について保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載すること


 改正要望の理由としては、

 ①については「契約者(保険料負担者)が死亡した場合、解約返戻金相当額が相続財産になるが、契約者名義を変更し、保険を継続する場合には保険の支払事由は生じないため、法定調書が提出されない」と指摘しています。

 ②については「保険の満期(解約)直前に契約者を変更した場合、本来贈与税の対象となる受取保険金(前の契約者が負担していた保険料相当額に対応する受取保険金部分)が生じていても法定調書が提出されない」と指摘しています。

 

 生命保険の契約者と被保険者が異なるケースで契約者が死亡した場合には、保険契約は相続人等に引き継がれて継続することになります。

 その後、保険事故が発生して保険金が支払われた場合は、保険金受取人は保険金から自分が支払った保険料を差し引いて所得計算することになるのですが、その際、契約変更前の契約者が支払った保険料も経費に含めてしまうケースが少なくないということが理由のようです。

 本来であれば契約者変更の時点で解約返戻金相当額が相続税の対象となりますが、きちんと申告しているケースが少ないということなのでしょう。

 通常、保険金が支払われれば保険会社から税務署に支払調書が提出されるのですが、契約者変更だけでは調書は発生しないため、納税者自ら申告しない限り税務署が契約者変更の事実を把握することはできないという現状があるようです。

 また、現在の支払調書は保険金支払い時点の契約内容で作成されるため、契約者変更があったことまでは確認できないのです。契約変更時、保険金支払時の2段階にわたり課税もれが発生する可能性がある状況をなんとかしたいということで国税庁が求めていたのがこの支払調書への契約者変更に関する記載だということです。

 

 平成30年1月1日以降に行われる契約者変更から適用されることとなります。

 契約者変更を前提に保険加入したケースなどは、平成30年までに課税関係を十分確認しておく必要があります。